フィナンシェ・マドレーヌのバニラ。焦がしバターと香りを合わせる
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フィナンシェとマドレーヌは、焼き菓子の店の定番です。 個包装にして日持ちさせ、ギフトにも並べやすい。 一日に何百個と焼く店も珍しくありません。
この二つに共通するのが、焦がしバターです。 フィナンシェには欠かせず、マドレーヌでも使う店は多いでしょう。
焦がしバターの香ばしさは、バニラと相性の良い香りです。 ただし入れる時機を誤ると、バニラだけが先に消えます。
焦がす前に入れない
いちばん多い失敗は、バターを焦がす鍋にさやや種を入れてしまうことです。
バターは焦がしていく途中で、水分が飛んで温度が大きく上がります。 バニラの香りは熱で揮発するので、この温度にさらすと香りは鍋の外へ出ていきます。 種も細かいので、乳固形分と一緒に焦げます。 焦げた種は苦みになり、見た目も焦げ粒と区別がつかなくなります。
焦がしバターの色と香りをつくる工程と、 バニラの香りを移す工程は、分けて考えてください。
バターが冷めてから浸出させる
焦がしバターができたら、鍋底を水に当てて色の進みを止めます。 そのうえで、60℃前後まで下がってから種とさやを入れます。
バニラの香り成分は油脂に溶けやすい性質があります。 温かい油脂は、香りを移すにはむしろ好都合です。 そのまま 30 分ほど置けば、バターの側に香りが入ります。
焦がしバターを漉す店は、浸出のあとで漉してください。 さやは引き上げ、指でしごいて残った種をバターへ戻します。
油脂に香りを移す考え方は 焼き菓子でバニラの香りを残すに書いた方法と同じです。 焦がしバターでは、その「移す」工程を焦がしたあとへずらす、と覚えてください。
使用量は生地1kgに1本から
目安は**生地 1kg に 1 本(約 3g)**です。
| 菓子 | 目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| マドレーヌ | 生地 1kg に 1 本 | バターと卵の香りが穏やかなので、バニラが前に出やすい |
| フィナンシェ | 生地 1kg に 0.5〜1 本 | 焦がしバターとアーモンドが主役。バニラは下支えに回す |
フィナンシェは焦がしバターとアーモンドの香りが強く、 バニラを増やしても前には出てきません。 主役にするより、香ばしさの輪郭を丸くする役と考えるほうが、使用量の割に効きます。
本数は目安で、さやの太さで重量は前後します。 仕込みは重量で管理してください。 用途別の使用量はバニラビーンズ1本は何グラムかの表にまとめています。
寝かせる時間を浸出に使う
マドレーヌの生地は、ひと晩寝かせてから焼く店が多いはずです。 フィナンシェも、生地を休ませてから焼くと膨らみと食感が揃います。
この寝かせの時間は、そのまま浸出の時間になります。
さやを生地に入れたまま冷蔵で寝かせれば、焼く前に香りはさらに移ります。 焼く直前にさやを引き上げ、絞り袋に詰めてください。 長く寝かせる生地でこの時間を使う方法は、 カヌレのバニラでも詳しく書きました。
砂糖に移す方法も相性が良い
フィナンシェは粉糖やグラニュー糖の比率が高い生地です。 種を砂糖にすり混ぜてから使うと、生地全体に均一に散ります。
使い終わったさやを砂糖に埋めておく バニラシュガーを常備している店なら、 その砂糖を配合の一部に置き換えるだけで香りが乗ります。 フィナンシェのように下支えとして使う菓子には、使用済みのさやの香りで十分なことが多いので、 新しいさやはマドレーヌのような主役の菓子へ回せます。
焼成は短く、香りは比較的残る
マドレーヌもフィナンシェも、小さな型で短時間に焼く菓子です。 長く焼くパウンドケーキやカヌレに比べると、香りは比較的残ります。
それでも、型の外側は高温にさらされます。 焼き色の付いた縁より、中心のほうがバニラを感じやすいのはそのためです。 焼成条件と香りの残り方は 焼き菓子でバニラの香りを残すの表を参照してください。
個包装で売るとき
焼き菓子は、焼いた当日より翌日のほうが香りがなじんだと感じられることがあります。 焼き立てで強かった焦がしバターの香りが落ち着き、バニラとの釣り合いが変わるためです。
試作の評価は、売る状態でしてください。 個包装して、店頭に並べる日数を置いてから食べ比べます。 焼き立てを基準に使用量を決めると、店頭に並ぶ頃の印象とずれます。
袋の中でも香りは時間とともに穏やかになっていきます。 賞味期限の終わりに近い個体でも香りが残るかどうかを、一度確かめておくと安心です。
表示と原価
「バニラビーンズ使用」と書くなら、実際にさやや種を使っていることが前提です。 香料を併用する場合の書き方は 「バニラビーンズ使用」と書ける条件にまとめました。
1 個あたりの生地の重量が小さいので、1 個あたりのバニラの原価も小さくなります。 1 日に焼く個数が多い店ほど、月の使用量はまとまります。 計算の仕方はバニラの原価はいくらかに載せました。 焼き菓子中心で月に 200〜500g 使う店なら、 500g が補充の単位として扱いやすいサイズです。
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