「バニラビーンズ使用」と書ける条件。原材料表示のつくり方
- バニラビーンズ
- 業務用
- 食品表示
商品のラベルや店頭の POP に「バニラビーンズ使用」と書きたい。 そう思ったときに、先に確認しておくことを整理します。
表示のルールには、書ける・書けないの線がはっきりしている部分と、 販売の形態によって変わる部分が混ざっています。 ここでは前者を中心にまとめます。個別の判断は所轄の保健所にご確認ください。
バニラは「食品」、香料は「添加物」
まず区分から入ります。ここを取り違えると、以降がすべてずれます。
バニラビーンズはラン科の植物の果実であり、表示のうえでは食品です。 原材料名の欄に、砂糖や卵と同じ並びで書きます。
一方、**バニラエッセンスやバニラオイルは添加物(香料)**にあたります。 添加物は原材料と区分して表示することになっており、 香料については一括名の「香料」で書くことが認められています。
同じ「バニラの香り」でも、何を使ったかで書く場所も言葉も変わる、ということです。 それぞれの性質の違いは エッセンス・オイル・エクストラクトの使い分けにまとめました。
原材料名にどう並べるか
原材料は、使用した重量の多い順に書きます。 バニラビーンズが上位に来ることはまずないので、実務上は末尾のほうに置くことになります。
書き方は「バニラビーンズ」で構いません。 「バニラビーンズ(インドネシア産)」のように括弧で産地を添えることもできますが、 その場合は後述の条件が付きます。
自家製のバニラエクストラクトを使った場合は、 バニラビーンズと使用した蒸留酒の両方が原材料になります。 「バニラエキス」とだけ書くと、アルコールを使っている事実が消えるので避けてください。
「バニラビーンズ使用」と書けないケース
はっきりしているのはここです。
香料で香りを付けたものに「バニラビーンズ使用」とは書けません。 種の粒に似せた黒い点が入る製剤もありますが、見た目が近いことは根拠になりません。
同じ理由で、次のような書き方も成り立ちません。
- ごく微量だけ使い、香りの大部分は香料で作っているのに「バニラビーンズのみ」と書く
- バニラシュガーに使った残りのさやを指して「たっぷり使用」と書く
- 一部の商品にだけ使っているのに、店全体の説明として「全商品バニラビーンズ使用」と書く
事実と違う表示、あるいは実際よりも著しく優れていると誤認させる表示は、 景品表示法の面でも問題になります。 書ける範囲は、伝票と仕込み記録で説明できるところまでと考えておくと安全です。
産地を書くとき
「マダガスカル産」「インドネシア産」といった産地の記載は、 それ自体が禁じられているわけではありません。事実であることが条件です。
注意したいのは、産地違いのさやを混ぜて使っている場合です。 在庫の都合で途中からロットが変わったのに、ラベルだけ前のままということが起こります。 産地を書くなら、仕入れ先を切り替えたときにラベルも見直す運用まで含めて決めてください。
産地ごとの香りの違いは 産地によるバニラビーンズの違い、 品種やグレードの書き方は グレードAとプラニフォリア種に整理しています。
表示が要る場面・要らない場面
| 売り方 | 原材料名などの表示 |
|---|---|
| 容器包装に入れて陳列・販売する | 必要 |
| 店内で作り、その場で包んで対面で渡す | 原則として義務の対象外 |
| 喫茶スペースで提供する | 対象外(メニュー表示は景品表示法の範囲) |
| 卸として他店に納める | 納品先の求めに応じた規格書が必要になる |
義務の対象外であっても、聞かれたら答えられるようにしておくことは別の話です。 とくにアレルギーの問い合わせは、対面販売でも普通に来ます。
アレルゲンとアルコール
バニラビーンズそのものは、表示が義務づけられた特定原材料には含まれていません。 ただし菓子として見れば、卵・乳・小麦が同時に入っていることがほとんどです。 バニラだけを見て終わらせないでください。
もうひとつ、自家製のバニラエクストラクトを使った焼き菓子や冷菓には、 微量とはいえアルコールが残ります。 子ども向けの商品や、贈答用として広く配る商品では、その旨を添えておくほうが親切です。
なお自家製エクストラクトは、 酒類の製造にあたる可能性があるため販売できません。 店内での調理に使う範囲にとどめてください。 仕込み方はバニラエクストラクトの作り方に書いています。
仕入れ先から取り寄せておくもの
卸に納める場合や、取引先から規格書を求められた場合に必要になります。 届いてから探すと時間がかかるので、取引を始める段階で確認しておくと後が楽です。
- 品名・学名・産地・品種
- 荷姿と内容量
- 保存方法と賞味期限の考え方
- 原材料としての区分(食品であること)
当店では、洋菓子店・製造業のお客様向けにこうした資料をご用意しています。 規格書や産地の情報が必要な場合はお問い合わせからご相談ください。 受託製造(OEM)で委託元と工場のあいだで決めておく項目は OEMでバニラビーンズを原料指定するに整理しました。 どこから、どう買い付けているかは産地とつくり手に載せています。
まとめ
- バニラビーンズは食品、エッセンス・オイルは添加物(香料)
- 香料で付けた香りに「バニラビーンズ使用」とは書けない
- 産地を書くなら、ロットが変わったときにラベルも見直す
- 対面販売でも、聞かれて答えられる状態にしておく
- 個別の判断は所轄の保健所へ
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