Origin & Makers
この香りは、
誰かの一年でできている。
オーブンを開けた瞬間に立ちのぼる、あの甘い香り。 そこにたどり着くまでに、インドネシアでは一年以上の手仕事が続いています。Vanilla Studio は、インドネシアのバニラ農家と一緒に立ち上げたブランドです。 誰が、どこで育て、どう仕上げているのか。 わたしたちが現地で見てきたものを、飾らずにお伝えします。


01
「使いたいけれど、高くて」
本物のバニラを使いたい。でも、値段を見て手が止まる。 製菓の現場でそんな声を何度も聞いてきました。 バニラの主要産地であるマダガスカルでは、気候変動などの影響もあり、バニラの価格は高騰しています。 量を減らすか、香料に置き換えるか。 そんな選択を迫られている方も少なくありません。
諦めてほしくない。 それが、わたしたちの出発点でした。 そこで目を向けたのが、インドネシアです。 日本ではまだ産地として広く知られていません。 けれど、インドネシアにはバニラの栽培に適した気候と土壌があり、多くの農家がバニラを育てています。

02
はじまりは、ひとりの友人だった
最初の取引相手は、商社でも市場でもなく、インドネシアでバニラを育てる一人の友人でした。 そこから少しずつつながりが広がり、いまではインドネシア商業省から紹介を受けた企業との共同プロジェクトへと発展しています。
生産を担うのは、政府の認可を受けた香辛料会社です。
そして、ランプーンや北スマトラを中心に、ロンボクなど各地の農家からバニラを仕入れています。 仲買を何段も挟まず、できるだけ農家から直接。 手間はかかります。 それでも、「この一本は、誰が育てたものか」に答えられる関係を、手放したくないからです。

03
畑というより、林でした
はじめて畑に立ったとき、そこは想像していた農園の景色ではありませんでした。 バニラはラン科のつる植物で、地面に根を張るだけでなく、 他の木に巻きつき、空中に根を伸ばしながら育ちます。 だから畑には、つるが這うための木をあらかじめ植えておくのです。
結果として、周りの樹木と混ざり合った、林のような畑になります。 日差しが強すぎれば葉が焼けるので、木陰の量を見ながら枝を落として調整する。 自然に任せているようでいて、じつは毎日、人の手が入っています。



04
咲いたその日の、朝しかない
バニラの花が開くのは年に一度、しかも朝のわずか数時間だけ。 原産地のメキシコでは自然に受粉しますが、ほかの産地では人の手による受粉が欠かせません。 咲いた花を一輪ずつ、人の手で受粉させていきます。
毎朝、畑を歩いて、その日に咲いた花を探す。見落とせば、その花はもう戻ってきません。 花期のあいだ、この作業をどれだけ続けられるかで、その年に穫れる量が決まります。 バニラが高価であることの理由の多くは、この朝の時間に詰まっています。

05
待つ、という仕事
受粉に成功した花は、さやになって伸びていきます。収穫まで、およそ9か月。 この時点のさやは青草のような匂いしかせず、 わたしたちが思い浮かべるあの香りは、まだどこにもありません。
早く摘めば軽くて扱いやすい。けれど香りのもとになる成分が十分に蓄えられず、 あとからどれだけ手をかけても香りは出てきません。 畑の一年は、動いている時間よりも、待っている時間のほうがずっと長いのです。

06
収穫したさやは、まず湯に通す
畑から運ばれてきた青いさやは、まず湯に通します。 収穫後の変化を止め、ここからキュアリングが始まります。
たらいを囲んで、その日に穫れたぶんを一度に処理する。 9か月かけて太らせたものが、ようやく香りに向かって動き出す日です。

07
昼は天日に、夜は布に包んで
湯を通したさやは、日中は天日に広げ、夜は布に包んで寝かせます。 加熱、発汗、乾燥、熟成を繰り返すうちに、 香りの主成分であるバニリンなどが少しずつ形成されていく。 これが、キュアリングと呼ばれる工程です。
乾かしすぎればさやは折れ、香りは痩せる。 水分を残しすぎればカビが出る。 その日の天気を見ながら判断を積み重ねる、いちばん神経を使う時間です。

08
一本ずつ、手に取って分ける
仕上がったさやは布の上に並べ、長さ・しなやかさ・表面の状態を見て、 一本ずつ等級を分けます。指で曲げてもしなり、折れないもの。 表面につやがあり、黒く締まっているもの。 それらを、わたしたちのAグレードとして選び出します。
基準に届かないものは、必要な数量が揃っていても製菓用としてはお出ししません。 ここで一段落としたものを混ぜれば数は揃います。 それでも、それをやると次に届く箱の中身が信用できなくなる。 だから、一本ずつ手に取って選びます。

09
箱に詰めて、日本へ
基準を満たしたさやだけを、布を敷いた箱に詰めます。 ここまでで、受粉の朝から一年以上が経っています。
インドネシアからは定期的に輸入していますが、収穫は年に一度きり。 その年の作柄によって、確保できる量は変わります。 いつでも好きなだけ、というわけにはいかない品物です。

10
次の一年を、また始めるために
バニラは、受粉から出荷まで一年以上かかる作物です。 相場が動いたからといって、来年から作付けを増やしたり減らしたりはできません。 だからこそ、買い手が来年も買うかどうかが、産地の側の計画をそのまま左右します。
袋を開けたときのあの香りの向こうには、村の暮らしがあります。 インドネシア産のバニラビーンズを日本で使ってもらうことが、現地の家族の収入になる。 その循環をつくり、続けていくことが、わたしたちがこの仕事をしている理由です。


ここに書いたことは、わたしたちが現地で見てきたことです。 産地のことでも、仕入れのことでも、気になることがあればお尋ねください。
株式会社SHOSEN小川 倫司
For Professionals
仕入れのご相談
インドネシアからは定期的に輸入しており、洋菓子店・企業向けのお取引も承っています。 ただしバニラは収穫が年に一度で、産地の作柄によって手に入る量が変わります。 必要な時期と量が決まっている場合は、収穫期に合わせて確保できるよう 早めにご相談ください。グレードや水分状態のご指定も承ります。

Company
会社概要
Vanilla Studio は 株式会社SHOSEN が運営するバニラビーンズのブランドです。
- 会社名
- 株式会社SHOSEN
- ブランド
- Vanilla Studio
- 代表者
- 小川 倫司
- 所在地
- 〒151-0071 東京都渋谷区本町5丁目18番8号
- 設立
- 2021年1月27日
- 資本金
- 1,000,000円
- 電話番号
- 070-8513-1065
- メールアドレス
- info@shosen-ss.com
- 事業内容
- 食品の輸入、輸出、小売り及び販売
- 食品及び原材料の輸入及び販売
- 果実、種苗野菜の販売、開発、販売及び輸出
- 総合輸出入貿易業務、各種商品の企画、製造及び販売
- 営業代行業、営業業務代行業
- インターネット等を利用した通信販売業及び卸売業並びに小売業
- コンサルタント業務
- システム開発