バニラのサンプルを取り寄せて比べる。仕入れ先を切り替える手順
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仕入れ先を変えるかどうかを、価格表だけで決めるのは難しい。 バニラは、同じ「グレードA」でも中身が揃わない素材だからです。
サンプルを取り寄せて比べる。その手順を整理します。
サンプルを頼むときに伝えること
先に伝えておくほど、届くものが実態に近づきます。
- 用途……アイス、焼き菓子、ガナッシュ。使い方で向くものが変わります
- 月間の使用量……継続的に供給できる相手かどうかの判断材料になります
- 希望する品種と産地……プラニフォリア種か、タヒテンシス種か
- 水分状態の好み……しなやかなものか、乾き気味か
- 荷姿……真空か、脱酸素剤か。小分けが要るか
用途を伝えずに「サンプルをください」とだけ頼むと、 その売り手が見せたいものが届きます。 それは悪いことではありませんが、比較の材料にはなりません。
品種とグレードの読み方は グレードAとプラニフォリア種、 産地ごとの傾向は 産地によるバニラビーンズの違いにまとめています。
1本で判断しない
これがいちばん大事な点です。
サンプルは、必ず複数本で見てください。 1 本だけでは、その 1 本がロットを代表しているか分かりません。
見るべきは平均ではなく ばらつきです。 良いものと悪いものの差が小さいロットは、仕込みが安定します。 平均が高くても差が大きいロットは、日によって製品が揺れます。
5 本あれば、傾向は見えます。 そのうち いちばん状態の悪いものを基準に判断してください。 仕込みの現場では、良いものだけを選んで使うわけにはいきません。
外観で見る五つの項目
届いたら、まず触って見ます。
| 項目 | 見方 | 良い状態 |
|---|---|---|
| しなやかさ | 指に巻いてみる | 折れずに曲がる |
| 長さ | 並べて揃える | 極端に短いものが混ざっていない |
| 太さ | 指で挟む | 中身が詰まっていて痩せていない |
| 表面 | 白い付着物の有無 | 針状の結晶ならバニリン |
| 断面 | 1本裂いて種を見る | 種が詰まり、しっとりしている |
痩せて平たいさやは、種が少なく香りも弱いことが多いものです。 重量で買う以上、痩せたさやが多いロットは実質的に高く付きます。
白い付着物の判別は 表面の白いものはカビかに基準を書きました。 綿状に広がり湿っているものはカビです。ここは妥協しないでください。
同じ条件で香りを比べる
外観の次は香りですが、嗅ぎ比べだけでは決められません。 さやを直接嗅いだ印象と、菓子になったときの印象は一致しないことがあります。
そこで、簡単な浸出テストをします。
- 同じ牛乳を 200ml ずつ、比べる数だけ用意する
- それぞれに同じ重量(3g 程度)のさやを、裂いて種ごと入れる
- 同じ温度・同じ時間で温める(60℃・30分など)
- 常温まで冷ます
- どれがどれか分からない状態にして、複数人で試す
同じ重量で比べること。 本数で揃えると、太さの差がそのまま条件の差になります。 さやの長さと太さは 1 本ずつ違うので、重量で揃えるほうが公平です。
見るのは香りの強さだけではありません。
- 立ち上がりの速さ……すぐ来るか、遅れて来るか
- 持続……飲み込んだあとに残るか
- 雑味……煙っぽさ、酸、薬っぽさが無いか
- 甘い印象……砂糖を入れていないのに甘く感じるか
用途によって、良いとする方向は変わります。 焼き菓子には持続の長いもの、冷菓には立ち上がりの強いものが向きます。
記録に残す
比べた結果は、必ず紙かデータで残してください。
翌年、同じ相手から仕入れるときの基準になります。 バニラは収穫が年に一度なので、ロットは毎年変わります。 「去年のほうが良かった気がする」を、印象ではなく記録で言えるようにしておく。
残すのは 5 項目で十分です。
- 入手日と仕入れ先
- 産地・品種・グレードの表記
- 外観の所見(しなやかさ、痩せ、ばらつき)
- 浸出テストの評価
- そのときの価格
切り替えるときに起きること
新しいロットに変えると、既存商品の味が変わります。 これは避けられません。準備しておくのは、変わったあとの調整です。
- 定番商品から先に試す……いちばん基準が明確なもので確かめる
- 使用量を再調整する……同じ本数でも香りの出方が違います。重量で調整してください
- 切り替え日を記録する……クレームや違和感が出たとき、原因を遡れます
- 産地表示を見直す……ラベルに産地を書いているなら、書き換えが必要です
表示の考え方は 「バニラビーンズ使用」と書ける条件にまとめました。
価格は最後に見る
価格を最初に見ると、そのあとの評価が引きずられます。 外観と香りの評価を先に済ませてから、価格表を開いてください。
そのうえで、比べるのは 1g あたりの単価です。 本数や袋の値段で比べると、太さの違いが金額に反映されません。 サイズ別の単価と、1 個あたりに割ったときの金額は バニラの原価はいくらかで計算しています。
最後に、次も同じものが届くかを確認してください。 一度きりの良いロットより、揃ったものが続くほうが商品には効きます。 選ぶときの軸は 業務用バニラビーンズの選び方に整理しました。
当店ではインドネシアの契約農家から直接買い付けています。 サンプルのご請求、グレードや水分状態のご相談は お問い合わせからどうぞ。 買い付けの経緯は産地とつくり手に載せています。
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