グレードAとプラニフォリア種。仕入れ仕様の読み方
- バニラビーンズ
- 業務用
- 品質
「グレード A」と書かれていても、売り手が違えば中身は違います。 バニラのグレードには 国際的に統一された規格がありません。
仕入れの条件を詰めるときは、グレードの一語では足りないという前提で見てください。 同じ表記の商品を別の会社から取って、届いたものが違ったという話は珍しくありません。
品種は3つ覚えれば足りる
プラニフォリア(Vanilla planifolia) 世界の流通の大半を占める品種です。 マダガスカル産が「ブルボン」と呼ばれるのはこの品種を指します。 インドネシアで栽培されているのも主にこの品種で、当店が扱っているのもこれです。 香りの軸がはっきりしていて、製菓のどの工程にも合わせやすい品種です。
タヒテンシス(Vanilla tahitensis) タヒチ産として知られる品種です。花のような、やや甘い香りが特徴とされます。 香りの方向が違うので、プラニフォリアの代わりに同量で使うと仕上がりが変わります。 置き換えではなく、別の素材として配合を組み直すほうが確実です。
ポンポナ(Vanilla pompona) 流通量が少なく、製菓で使われることはあまりありません。
産地ごとの香りの違いは マダガスカル産とインドネシア産の違いに詳しく書いています。
グレードは売り手ごとの基準
一般的には、次のような二分で語られることが多い言葉です。
- グレード A(gourmet / prime) — 水分を残してしなやかに仕上げたもの。さやのまま使う用途向け
- グレード B(extraction) — 乾燥が進み、割れや短いものを含む。抽出・粉砕用
ただしこれは 慣習であって規格ではありません。 同じ「A」でも、水分の目標値も、長さの下限も、割れの許容も、売り手ごとに違います。 産地の輸出等級と、輸入業者が付ける等級が別物であることもあります。
したがって、A か B かを聞くより、その売り手が何を基準にしているかを聞くほうが早いです。 基準を言葉で説明できない相手からは、同じものが継続して届く保証がありません。
当店が A グレードとしているのは、指で曲げてもしなり、折れないもの。表面につやがあり、黒く締まっているものです。 基準に届かないものは、必要な数量が揃っていても製菓用としてはお出ししていません。 一段落としたものを混ぜれば数は揃いますが、それをやると次に届く箱の中身が信用できなくなるためです。 選別の様子は産地とつくり手に載せています。
等級名にはいくつも呼び方がある
同じものを指していても、売り手によって呼び方が変わります。
- Gourmet / Prime / Grade A — さやのまま使う用途向けとして売られるもの
- Extraction / Grade B / Cuts — 抽出・粉砕用。割れや短いものを含む
- Red / Black — 色味による呼び分け。産地の慣習によるもので、品質の順位ではないことが多い
呼び方の違いに意味を求めても答えは出ません。 その名前で何を保証しているのかを聞くほうが早いです。
仕入れ仕様に書くべき項目
継続して仕入れるなら、次の項目を文字にしておくと認識のずれが起きにくくなります。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 品種 | プラニフォリア |
| 産地 | インドネシア(ランプーン・北スマトラ) |
| グレード | 売り手の定義を併記する |
| 長さ | 下限を決める(例:14cm以上) |
| 水分状態 | しなやかさ重視か、乾燥寄りか |
| 荷姿 | 真空・脱酸素剤の有無、内装の材質 |
| 数量と時期 | 年間量と、納品を分ける月 |
「グレード A」とだけ書かないでください。 それは仕様ではなく、売り手の商品名の一部です。 上の項目を埋めて初めて、次回も同じものが届くかどうかを確認できる状態になります。
書き出してみると、自分の店が本当に必要としている条件は多くないと分かることもあります。 種の量だけが要るのであれば長さの下限は不要ですし、 飾りとして立てるのであれば長さが最優先になります。
長さと本数の関係
さやの長さと太さは 1 本ずつ違います。 そのため同じ重量でも本数は前後します。 当店が本数ではなく重量でお届けしているのはこのためです。
長さの下限を指定すると本数は減り、1 本あたりの単価は上がります。 逆に本数を優先すると、短いものが混じります。 どちらを取るかは商品設計しだいで、さやを飾りとして見せるなら長さ、種の量で見るなら重量が基準になります。
重量から必要量を出す考え方は バニラビーンズ1本は何グラムかにまとめました。
水分についての注意
水分が多いほうがしなやかで扱いやすい一方、保管の条件は厳しくなります。 乾燥寄りに仕上げたものは扱いやすく日持ちしますが、さやを裂いたときの種の取れ方が変わります。
どちらが良いという話ではなく、 店の回転と保管環境に合うほうを選ぶ項目です。 当店ではグレードや水分状態のご指定も承っています。 必要な条件が決まっている場合はお問い合わせからご相談ください。
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